日本語・国際教育研究紀要 = Journal of Japanese language and international education studies;第27号

FONT SIZE:  S M L

他者による感情カードの発見によって作られる発話順番 : 日本語母語話者と非母語話者による話し合い場面の事例分析から

山本, 真理

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/92237
KEYWORDS : 話し合い;接触場面;感情カード;発話順番;会話分析

Abstract

本研究は地域の課題を解決することを目的として開催されたワークショップにおいて、日本語母語話者と日本語非母語話者が日本語を共通言語として話し合いを行う場面を分析したものである。話し合いは3名以上の多人数で行われ、日本語でのやりとりが困難な参加者がいるグループには通訳が同席した。こうした事情から日本語非母語話者が話し合いに参加し、自分の想いや意見を話すことには困難が伴うことが予想された。そのため筆者を含むプロジェクトメンバーは、会話への参加を促すために11枚の「感情カード」を開発し、参加者全員に配布することとした。本稿では、日本語非母語話者が発話順番(turn)を取得し自身の想いや意見を話す場面において、どのように「感情カード」が利用されているかに焦点をあてて分析を行う。分析の結果、発話順番を取得する際の特徴として次の3点が観察された。(1)日本語非母語話者は他のグループメンバーが視認できるよう感情カードを提示する、(2)提示された日本語非母語話者の感情カードを他のグループメンバーが発見し指さし等を用いて他者の注意を集める、(3)他のグループメンバーからの質問によって日本語非母語話者に一定程度話す機会が作られる。本稿ではこれらについて、実際のデータをもとに身体的動作も含めて詳細に記述する。

FULL TEXT:PDF